ごあいさつ

今回、フェルメール・センター銀座では好評を博した「フェルメール 光の王国展」に続き、「あっぱれ北斎! 光の王国展」を開催します。


当企画は、日本全体が開国を迎えようとする時代にあって、大衆文化である浮世絵において伝統文化の中で培われた様々な表現や感性を、世界に類を見ない芸術として完成させた葛飾北斎の活き活きとした世界を、高精度デジタル技術において現代によみがえらせ、西洋におけるジャポニスムから印象派への強い影響を通じて近代芸術の創造を加速させた偉業を現代の視点から再評価しようとするものです。


1999年に、アメリカ『ライフ』誌の特集「この1000年で最も重要な功績を残した100人」の中で日本人として唯一選ばれた葛飾北斎は東洋のダ・ヴィンチとも見なされるように、江戸末期に当時日本で考えうるすべての絵画表現を試み、その実験は油絵を始めとする西洋絵画技術にまで及んでいたと言われています。またそのほとんどにおいて日本美術史上に残る傑作をものにしています。


明治以降、残念なことに社会の変化と西洋美術偏重の風潮から、江戸町人文化の華とも呼べる浮世絵は次第に衰退してしまいました。しかし、北斎とその独創と反抗の精神は社会が画一化し、日本文化のアイデンティティが見えにくくなってしまっている今、最も必要とされているものではないかと私たちは思っています。


どうぞ最先端のテクノロジーと現代的な視点で甦った画狂老人葛飾北斎の素晴らしい世界と江戸の心意気を思う存分楽しんでください。


伊東順二(総合プロデューサー)